リッピング
リッピングとはDVDやCDのデータをハードディスク上にコピーする行為です。市販DVDのデータは本来コピーができないものですが、リッピングソフトを使うことによりデータのコピーができます。ソフトでは以下のとおりに動作していきます。
- DVDからデータを読み込みCSSを解除
- 場合によってはマクロビジョンも解除
- 解除後、DVDのデータがハードディスクにコピーされる
ハードディスク上にコピーできることにより、そのデータを加工や保存やバックアップが容易となります。しかしDVDにはCSSやマクロビジョンといった技術が施され、そういう技術の扱いについて法律に定められています。そのためCDとは事情が違って、データの扱いに関してややこしくなっています。
合法か違法か
違法、もしくはグレーゾーンだとする風潮がネット上にあります。しかし、実際はどうなのかというところになると確定した答えは見かけません。
海外のCSS解除に関する裁判やDVDコピー商品(海賊版)に関する報道により、それらを可能にするソフトに対して危険なイメージが広がってしまったのが原因ではないかと思います。
ちなみに自作DVDや個人が録画したDVDのリッピングや複製については、もちろん違法ではありません。
資料
CSSはコンテンツへのアクセスコントロール技術です。アクセスコントロール技術の回避は、不正競争防止法2条1項10号及び11号、同条5項により不正競争行為とされており、差止(同法3条)、損害賠償(同法4条)の対象とされています。もっとも正確には、対象となる行為は、アクセスコントロール技術の回避を可能とする装置又はプログラムの譲渡等のみです。アクセスコントロール技術の回避を可能とする装置またはプログラムの譲渡を受けることや、それらの使用は対象となっていません。そのため、CSSを解除するプログラムをダウンロードしたり、実際に使用してCSSを解除したとしても、不正競争行為にはなりません。一方、国内でCSSを解除するプログラムを譲渡、販売、公衆送信(ネット上でダウンロード可能なじょうたいにすること)すれば、これらの行為が有償であるか無償であるかを問わず、不正競争行為となります。
次にマクロビジョンですが、これはコンテンツに対するコピーコントロール技術です。先の不正競争防止法の各条項はコピーコントロール技術の回避も対象としていますが、規制の内容は同じで、コピーコントロール技術を回避の回避を可能訴する装置の譲渡を受けたりそれらを使用することは不正競争行為にはなりません。
コピーコントロール技術は著作権法も保護の対象としています(同法30条1項2号)。もっとも規制の対象となっている行為は「コピーコントロール技術を回避することによって可能となる複製」です。そのためDVDのリッピングの際にマクロビジョンを解除したとしても、リッピング自体は、もともとマクロビジョンを解除しなくても可能な複製行為ですので規制の対象にはなりません。一方、マクロビジョンが解除されたコンテンツをコンポジット出力し、VHSのテープなどにダビングすることは、マクロビジョンを解除したことによって可能となる複製行為ですから規制の対象となります。
なおCSSやマクロビジョンの解除はDVDに収録されていたデータをビットデータとして改変していることになりますので、著作権法20条の同一性保持権を侵害しないかが問一応題にはなります。しかし同一性保持権の趣旨は著作者が創作したコンテンツの内容を保持することです。CSSやマクロビジョンを解除したとしても、対象となっている映像コンテンツに変更は加えられませんので、同一性保持権の侵害にはならないと考えられているようです。これはCDのデータをMP3に変換する際にも妥当します。
CSSないしはマクロビジョンが解除された後のハードディスクまたはDVD-R等へのコピーは私的複製となりますので、著作権者の複製権を侵害することにはなりません。
以上、リッピングツールをダウンロードし、個人があくまでも私的な目的で使用してリッピングを行う限りでは法律には違反しないと言うことになります。
抜粋元: 法務ネット - 企業法務Q&A - 弁護士が企業の法律問題を解決! - 著作権法 - 技術的保護手段の回避 : DVDをリッピングソフトを使用してコピーすることは違法ですか? 2005/03/04
・ CSS(Content Scramble System)
著作物等のデジタル信号を暗号化することにより,再生機器に組み込まれた機器による復号化の操作を行わない限り,著作物等として鑑賞することができないようにするシステム。
抜粋元: 著作権審議会マルチメディア小委員会ワーキンググループ(技術的保護・管理関係)中間まとめ 1998/02/20
第2 なぜCSSだけが著作権法の対象外か
1 立法当時、CSSは「専用のデコーダや正規の機器を用いないと著作物等の視聴を行えないようにするものである」と理解され、「著作物等を単に視聴する行為は著作権等の対象となっていない」ことから、技術的保護手段からはずすとされた。
抜粋元: 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)議事要旨-資料2-2:アクセスコントロールと整理されている技術の一部を「技術的保護手段」とする必要性について 2003/10/03
前述の通り、著作権法ではCSSという“アクセスコントロール技術”は、「技術的保護手段」にあたらないのだ。つまり、CSSを外してパソコンのハードディスクに取り込むリッピング行為を、著作権法はカバーしていない、ということになる。一方のマクロビジョンという“コピーコントロール技術”を解除して複製することは、たとえ私的複製であっても著作権法第30条第1項第2号に定める「技術的保護手段の回避」となり、違法行為となる。
では、不正競争防止法ではどうか? こちらは第2条第1項第10号コピーコントロール技術が、第11号でアクセスコントロール技術が技術的制限手段と認められており、これを無効化する機器またはプログラムなどの他人への提供行為(条文では「譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為」と規定されている)が違法行為となっている。
だが、もう一度よく読んでほしい。これらの条文はCSSを解除するソフトを提供する行為を違法としているのであって、私的にCSS解除ソフトを使うことを規定していないのだ。
著作権法は不正競争防止法とは違い、自己使用目的の場合でも、技術的保護手段の回避行為を行った場合、刑事罰に問われる。だが、デジタルで行うリッピングの場合にネックとなる肝心のCSSはアクセスコントロール技術のため、著作権法が規定する技術的保護手段の回避行為(違法行為)にあたらないというわけだ。
一方で不正競争防止法は、CSSを技術的制限手段とみなすものの、回避行為そのもの、つまりCSS解除ソフトの使用自体は規定していない。
要するに、マクロビジョンの回避さえ行わなければ、現行法では「個人が自分の所有するDVDをリッピング、複製するだけならば適法」ということになるのだ。
抜粋元: 音楽配信メモ - なんでDVDコピーは「違法」なの!?(日経クリック 2003年10月号) 2003/10
まず大前提として,コピープロテクトを外してコピーすれば,私的使用のための複製でも著作権侵害だ,ということははっきりしていて,誰も違うことは言わない。
著作権法30条1項は,無許諾の複製が著作権侵害にならない例外的行為のひとつとして,私的使用目的の複製を挙げる規定だが,そこでは2つの場合が除外されている。「例外の例外」が定められているわけだ。
その「例外の例外」の2番目として挙げられているのが,技術的保護手段を回避することで可能にした複製である。その事情を知りつつ複製すれば,著作権侵害となるとされている(同条2号)。
権利者から損害賠償を請求される可能性があるのだ。
コピープロテクトを外した私的使用目的コピーは,犯罪ではないということ。
著作権法119条は著作権侵害一般を犯罪とし,「3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処する」としている。だが,私的使用目的の複製については,「例外の例外」の場合も含めて,科罰対象から除かれているのだ。同条1号は,科罰対象を次のように規定している。
著作権……を侵害した者(第30条第1項……に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物……の複製を行つた者……を除く)読んでのとおり,技術的保護手段を回避したかどうかを問うことなく,私的使用目的なら除外されている。
この理由については,文化庁の立法担当者の書いた本に次のように説明されている(『著作権法・不正競争防止法改正解説』〔有斐閣・1999年〕95頁)。
ただし刑事罰については,私的使用のために行う個々の複製行為に,刑事罰を科すほどの違法性があるとまではいえないことから,改正法は,公衆用自動複製機器を用いて行う複製の場合と同様に,行為者を刑事罰を科す対象から除外することにした(第119条第1号括弧書きの適用)。なお,コピーガードを外すための機器やソフトを不特定または多数の人に売ったり,不特定または多数の人のためにコピーガードを外すサービスをするのは,刑事罰の対象となる(著作権法120条の2)。
このようなことをすると著作権者が大きな被害を受ける危険があるから,刑事罰をもってでも抑制しようとしているわけだ。
抜粋元: 市販 DVD から作る 2004/02/09
この背景として水越氏は、「かつては私的複製は零細なものだと考えられていたため、複製を認めるのが一般的な考え方だったが、今や私的複製自体を零細なものと認めない考え方が主流となりつつある」と述べた。
これに対し、現行著作権法ではアクセスコントロールに関する規定は存在しないことから、BS・CS放送にかけられているスクランブルやDVDのCSS暗号化を回避するような行為は著作権法上は違法ではないという。
抜粋元: 高まるDRMの重要性~コンテンツビジネスと著作権 2004/10/08
少々専門的だが詳しく説明しよう。アクセスコントロールで有名なのはWOWOWなどで使われているスクランブル(暗号化)放送だ。WOWOWの受信を契約すると暗号を解除するデコーダーが配られ、これをチューナーにつなぐと放送が見られる。つまりデコーダーのあるチューナーとないチューナーの間で、アクセスに差をつけている。これがアクセスコントロールだ。
著作権法は、著作物の複製や放送、上演、上映などに関して著作権者の権利を認めているが、利用者が著作物にどうアクセスするかについては権利を認めていない。
なぜならこれを認めると、例えば友人宅でビデオを見ることや、隣の人の本をのぞき見ることなどにも、著作権者のコントロールが及びかねないからだ。つまり、現行の著作権法の体系を根本から組み直す必要が生じるのである。
DVDに話を戻そう。DVDはCSSによってデータを暗号化している。DVDプレーヤーは業界団体からライセンスを受けて、解読用の鍵を内蔵している。ライセンスを受けた機器では再生できるが、それ以外では再生できない。つまりCSSはWOWOWのスクランブルと同じアクセスコントロールなのである。
抜粋元: asahi.com : ネット最前線 : ASAHIパソコン NEWS 「コピーコントロールCDを徹底的に総括する」 2004/11/30
CSS解除が違法になるように法律を変えよう! という委員がいるということは、逆にいえば、今のところは日本ではCSS解除は合法ということです。(そのような法改正については、ユーザ、特に罪のない(ただDVDを再生したいだけの) Linux ユーザ に一方的な不利益になるばかりなので、消費者の理解を得られず、相当の困難が予想されます。)
第二に、万一技術的なコピーコントロールに該当すると極論できたとしても、技術的保護の回避は「これは回避だと知りつつやっている」のでない限り問題になりません。著作権問題専門の審議会で「これは回避にならない」と断言している以上、一般人は当然「これは回避でない」と考えます。現時点では「これは回避だと知りつつやっている」という状態は絶対に発生しようがなく、したがって違法になりません。
第三に、コピーコントロールに該当すると極論できたとして、さらに悪意の回避が行われたと極論できたとしても、私的複製の場合、たとえ権利の侵害になったとしても、法律上、「罰することは」できません(著作権法119条、但し書き)。
以上の理由から、現時点ではCSS解除は二重、三重の意味で問題ないと断言できます。
そもそも正規に購入したDVDのデータをHD上に置いても、便利にこそなれ、実質的には誰にも実害はなく、問題になりようがありません。勝手にコピーされて転売されたりしては困る、という販売側の気持ちはよく分かりますが、コピーされて転売されては困る、ということと、自分が正規に買ったデータを自分のHDで自分で鑑賞する、あるいは編集したり趣味の動画作成を楽しむ、というのは、何の関係もないことです。誰にも迷惑をかけていない行為で罰せられるいわれがありません。
もし、CSS解除それ自体が違法だという根拠のない考えが広まっているとしたら、そういうことにしておきたい人々の思惑かもしれません。「MP3問題」のときも、最初「MP3」というフォーマット自体が違法であるかのようにいわれたり、 MP3を再生できるプレーヤーが違法であるかのようにいわれたりしていた時期があったようです。
抜粋元: 付録E: リッピングにまつわる法理論と宣伝 - faireal.net 2004/01/29
まとめ
CSSはアクセスコントロールであり、コピーコントロールではありません。アクセスコントロールは技術的保護手段にあたらないため、CSS解除を行うことは現時点において著作権違法にあたらず不正競争行為にもあたりません。
マクロビジョンはコピーコントロールであり、アクセスコントロールではありません。CSSとは事情が違い、マクロビジョンを解除して私的複製することには著作権侵害にあたりますが犯罪ではないため罰則されません。
個人が購入したDVDソフトのリッピング、私的での複製は合法です。 ただし、販売目的での複製は当然ながら違法であり、不特定多数への複製データの送信は違法にあたります。
DVDメディアの寿命
市販DVDのメディアの寿命は保存状態がよければ約30年~100年程と言われます。ただし、温度差や湿気に大きく影響を受けるため、湿気が多く四季で温度が変化していく日本に住んでいる者として気がかりなものです。
万が一に備えて、HDDやDVD-R/DVD+Rなどにバックアップすべきです。